女性自殺者が増加。反出生主義者で「地球は地獄だ」と思っている私が自殺しない理由(藤森かよこ)
『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』を自殺者予備軍の女性に薦める!
女性の自殺者の数が増えている。「コロナ禍による経済面や家庭での悩みが深刻化している可能性がある」と、厚労省が指定した調査機関「いのち支える自殺対策推進センター」が2020年10月21日に分析発表したものだ。警察庁によれば、自殺者数は7月から3カ月連続で前年同月を上回り、8月の速報値では前年同月より251人多い1854人だった。このうち女性は651人で約4割も増加している。この状況をどう考えたら良いのか? 『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』著者・藤森かよこ氏(福山市立大学名誉教授)の寄稿を再配信。
■2020年7月からずっと女性自殺者数が増加している
2020年7月以降自殺者が増え、特に若い女性の自殺者が増えていることについては注目されいろいろ論じられている。念のために事実を確認しておこう。
厚生労働省の統計によると、自殺者数(遺体が見つかった事例のみ)は、ここ10年連続で減ってきた。2019年は20,169人で、統計を取り始めた1978年以来もっとも少なかった。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/jisatsu_new.html
今年2020年の1~6月の自殺者数は昨年とほぼ同じレベルか少なめだったが、7月以降増えている。6月の自殺者数は1,559名(男1,053/女566)だったが、7月の自殺者数は1,818名(男1,167/女651)であった。8月の自殺者数は1,854名(男1,203/女651)であった。9月の自殺者数は1.805名(男1.166/女639)であった。
女性の自殺者のうち若い女性の自殺者が増えている。30代以下の女性の8月の自殺者数は193人と前年8月に比べ74%も増えた。特に10代では去年の3.6倍だ。
https://www.asahi.com/articles/ASNB272P6NB2UBQU004.html
9月の自殺者は、男性が去年よりも0.4%増えて1,166人だが、女性は27.5%増えて639人となっている。やはり女性の自殺者が大幅に増えている。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201012/k10012659631000.html
■カネも気晴らしもない鬱屈と未来への不安と孤独感は特に女性を蝕む
このような結果が出た理由は、識者が指摘するように、いくつもある。
https://news.goo.ne.jp/article/bloomberg/business/bloomberg-QHUZINDWX2Q401.html
https://biz-journal.jp/2020/09/post_180438.html
まず、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策の外出自粛要請や休業要請は女性の経済力を大きく毀損した。コロナ感染拡大を防ぐためには人間と人間が接する機会を減らさなければならない。だからコロナ対策は、観光業や宿泊業や、小売店や飲食店や、航空会社の従業員やセックスワーカーを含む歓楽系接待業などの対面型接触型サービス業に痛手を与えた。これらの分野こそ、正規雇用にせよ非正規雇用にせよ、女性を多く雇用している。女性たちは休業や自宅待機を強いられ、解雇された者もいた。
解雇されない場合でも、対面型接触型サービス業に従事する女性たちは、感染リスクに晒され、そのストレスも大きかった。
しかし、そのようなストレスを緩和軽減するために、通常は女性が利用する気晴らしを今回は行使できなかった。友人と会食しておしゃべりに興じる機会がなかった。お洒落して外出することができなかった。100円ショップでいっぱい買い物することもできなかった。2,000円でいっぱい買えるのに。
映画館も演劇もコンサートが休業だった。小さな旅もできなかった。どこか遠くへ行けなかった。休業や自宅待機どころか失業したら、気晴らし消費に使えるカネが消える。
自宅待機は、独り暮らしなら寂しい。若い頃は孤独とうまくつきあうことが難しい。独立してひとり暮しできる給与を得ていない場合は家族と同居だが、これがまたストレスだ。さして広くもない住宅の中では摩擦が多くなる。
学校に通う子どもがいる女性は、子どもの自宅学習を監督する仕事が増えた。家事能力のない夫がいる場合には、三食を用意するのも面倒であった。夫がDV男であれば、虐待される頻度が増えた。そんな男と結婚するのが間違いであると言うのは簡単だが、ほとんどの人間は、行き当たりばったりで軽率に結婚する。正気になって熟慮したら、結婚も出産もリスクがあり過ぎてできない。
というわけで、コロナ危機期間には、経済的困窮や孤独や鬱屈や家庭内人間関係の軋轢や重荷など、女性の自殺理由には事欠かなかった。ついでに、芸能人の自殺(?)も続いた。こういうことは伝染する。「あんな人でも自殺するぐらいだから、私も死のうかな」と思ってしまう。